剱聖伝
第二章 偽りのクラウン

決意の疾走

トラバキア城最上部…


一人の男が雲を眺めて


いた。


仰向けに寝そべって


両足を組、腕を頭の後ろへ

まわした格好で空を


見ているのだ。


《こりゃまた、なんとも


嫌な空だねぇ》


格段に変わった様子の


無い空を見上げ、そんな


事を呟いた。


《うむ…一雨…来るか》


そう言って目をつぶる。


風の匂い…


鳥のさえずり…


暖かい日差し…


心地よさで落ちそうに


なる…しかしそれも束の間

自分を呼ぶ声で目が


覚める。


《クロード様ぁ〜》


《ク〜ロ〜ド様ぁ〜〜》


《どぉ〜こ〜にぃ〜おら


れるのでぇ〜すぅかぁ〜》

かなりひつこく老人と


おぼしき声がクロード


たる人物を探して


いるようであった。
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