剱聖伝
変化がない…皆の顔に焦り

の色が見え始めた頃、突然

空間が歪み始めたのだ。


黒死点の中心がまばゆく


光り出した。その光りと


同時に黒い穴が小さくなっ

ていき、最後には空中へと


吸い込まれて消えた。


そこはまるで何事も無かっ

たかのように荒んだ荒野が

視界いっぱいに広がってい

る。そこにポツンと取り残

された四人の天剱聖達。


皆、放心状態で大地に


しゃがみ込む。


《…終ったのか…》


最初に口を開いたのは


スザクだった。


《そのようじゃな…》


ゆっくりと立ち上がり、ハ

イゼルがスザクの元へ歩み

寄る。


《クロード殿は…》


セイランが沈痛な面持ちで

周り見渡す。


近くに居たバーミリオンも

辺りへと視線をうつすが


人影は何も見つからない。

黒死点があった場所まで


歩いて行くと地面に何か


落ちているのに気づき


しゃがんで手に取った。
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