剱聖伝
《どうかしたのですか!?

》ティアの澄んだ瞳に見つ

められ、また恥ずかしそう

になんでもないと言うラキ

の顔は、まだ昔の幼い頃の

面影が残っているようだ。

《そろそろ戻りましょう》

ティアが少し冷えた体を抱

えながら踵を返し歩き出す

。ラキも少し空を見あげ、

そのあとティアの後ろまで

駆け寄り、毛布を肩へとか

ける。


《ありがとう》


ティアがそう言って微笑む

。だがその後急に足を止め

て目をつぶる。


《ティア!?》


ラキが心配になり呼び掛け

るがピクリとも動かない。

もう一度声をかけようとし

た時、突然体に緊張が走る

。鋭い剣気…だが暖かく、

心地好い剣気…ラキはこの

剣気を知っていた。


きっとティアも……。


後ろの方から足音が聞こえ

てくる。
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