君が眠る時には

「そんなに大きい荷物もって、どっか行くの?」


「私、退院することになった」


「え?」


だって、病状が思わしくなかったから入院してたんだよね?


それなのに数日いただけで退院なの?


「ほんとはね、様子を見るだけの入院だったの。嘘ついちゃってごめんね」


「ううん。葵には言った?」


「いちおうね」


寂しそうな顔。


美月ちゃんのそんな顔初めて見たよ。


恋する乙女だな…。


「そっか。葵も寂しくなっちゃうね。彼女さんがいなくなっちゃうんだもん」


「え?」


「でも会いに来るよね。そしたら葵も喜ぶよ」


「ちょ、ちょっとまって!」
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