君が眠る時には

大切な人〜葵side〜

「面白そうなやつだな。会ってみたい」


そんな俺の軽い一言で遥が連れてきたやつ。


それが雪。


女なんてめんどくさそうだし、関わるだけ時間の無駄だと思っていた。


だけど「同い年」というキーワードに引かれてしまった。


ここは病院だから、同じ年代のやつなんてそうそういない。


いるとしたら爺さん婆さんだけ。


家族しかお見舞いにこないし。


そりゃそうだよな。


ずっと入院していて、友達なんて作れたことがないから。


病院で出会った人と友達になるなんて、そんなことは物語の中だけの話。


実際は隣の病室の人の名前ですら知らない。


知ろうとも思わない。


だって俺は、いつか死ぬんだから。


友達なんて作ったって意味ないんだ。


それなのに…俺は雪と仲良くしたいと思った。
< 63 / 187 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop