借金取りに捕らわれて〈番外編〉~日常~
まあともかく、こんな高級酒二度と飲む機会なんてないと思うし、それにこれから地獄(冥土)に行く私にはぴったりのネーミング…
口をつけたからには、存分に飲ませて頂きましょう!

とは言っても私、芋焼酎は直ぐ酔うからそんなに飲めないけど…


味わうようにまた一口、グラスに口をつけた。


「美味しい?」


肘を立てた手に顔を乗せ、微笑む秋庭さんと目が合いドキリとする。


「はい、とっても。」


「俺も飲もうかな。注いでくれる?」


そう言って、秋庭さんは空のグラスを持ち上げた。


「あっ、はい。」


私は立ち上がり、秋庭さんの横に行くと一升瓶を持ち上げ、蓋に手を掛けた。が…



「やっぱりこっちで味わいたい。」


「えっ…」



手を引かれ、体勢を崩して落ちたのは秋庭さんの膝の上。

一升瓶を取り上げられ、そして、間を置かず唇が重なる。

うなじに置かれた手が拒むことを許してはくれない。

長いキスに空気を求めて口を開けば、それを逃さず舌が我が物顔で入ってくる。

舌は口内をじっくり味わうように隅から隅まで動き、息もするのも絶え絶えになった。


「ん…はっ…んっん…」


自分では押さえられないイヤらしい声が、キスの隙間から漏れてくる。



こんな声出したくないのに…



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