はちみつドロップス

「涼希。……呼んだから離してよ」


「可愛く言ってくれなきゃヤだな」



ああ言えばこう言う方式に、言えば言うほどに言い返されて自分の首を絞めるばかり。



最初の平静はどこへやら。
悔しそうに自分を睨む天を涼希は楽しそうに笑いながら見つめていた。



「涼希っ! いい加減に……」


「え~。ヤだ」



いくら天が巨女(皇楽だけ)と言われていても、
体一回りは違う男子に勝てる訳もなく。

どうにか逃れようともがいている。



そこへ教室から出て来たが皇楽が通りがかるというタイミングの悪さ。



涼希にじゃれつかれていた天と皇楽の視線がぶつかった途端、眉間のシワは極太に膨れ上がった。



「どけっ。邪魔」


「わ、わたしに言わないでよっ!」



ものすごいぶっきらぼうな口調で言い放ちながら舌打ちまでかます。



わたわたともがきながら
答える天のピッタリくっついた後ろから、



「あっ、高原先輩スミマセン。居たの気付かなかった」



更に諸悪の根源が追い討ちをかける爽やかな笑顔を浮かべている。





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