はちみつドロップス

「天~!」



待ち合わせの駅前に着くなり天は熱烈なハグで出迎えられた。


あぁ。
さすがに初デートだからいつもは仏頂面の皇楽もテンション高いなぁ……。

っていうワケでは勿論無い。



「朗楽くんっ」



飛び付いて来た朗楽に視線を合わせてしゃがんだ天が不思議そうに朗楽の顔を見つめた。



「……悪い。母親が休日出勤になって……。雄楽は部活で藍楽は委員会」



朗楽の後ろから歩み寄ってきた足を見上げれば、申し訳なさそうに天を見下ろす皇楽が立っていた。



「そっかぁ。じゃあ、今日は天と一杯遊ぼうねぇ」



皇楽の話にふ~んと軽く頷いたかと思えば、こう言って目の前の朗楽の頭を天が撫でる。



そんな天に朗楽はにっとはにかんで、



「心配しなくてもデートの邪魔はしないからね。天」


「……ははは。ありがとう」



笑顔とは不似合いなマセた口をきく朗楽は自分よりずっと上手だった。



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