はちみつドロップス

それを何でも無い顔で差し出してきた皇楽に天の表情は一気に堅くなる。



「なんで?」


「要らないからやる」



平気でこんなことをする皇楽の気持ちがわからなかった。


何故、要らないのに椎菜から受け取るのか。

そしてそれを何故わざわざ自分に渡すのか……。



「要らない……。嫌いだもん。スコーン」


「えっ?」



中身を見ずして、袋の中ががスコーンであることを良い当てる。

こうしてスコーンをやんわりと突き返す天を皇楽が驚いたように見つめた。



「……甘いもん好きだろ。おまえ」


「……嫌いだよっ。チョコレートケーキもクッキーもスコーンも」



こう言い残した天が力無い笑顔で教室へと去っていく。



その横顔を呆然と見つめた皇楽がゆっくりと手の中の紙袋に視線を下ろした。




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