はちみつドロップス
スウィート・チーズケーキ

「なんで高宮にそれを渡すかなぁ」


「…………」



放課後。


あれから授業中も自分と目も合わせず、天はそそくさと教室を後にしていた。


その明確な理由もわからず、一人悶々としている皇楽に慶斗が声をかける。


机の上に置かれた椎菜特製のスコーンが虚しく夕日を浴びている。


それに負けない程虚しく響く皇楽の溜め息。



「高宮、傷付いただろうなー可哀相に」


「……甘いモノ好きだから喜ぶと思ったんだよっ」



ぷいっと視線を慶斗から逸らした皇楽が苛立たしそうに舌打ちをする。


椎菜からのプレゼントを皇楽が受け取っていた理由がこれ。



甘いモノ好きな天にあげたら喜ぶと単純に純粋に思っていたから。


普通に考えればおかしいけど。
……こいつはホントに不器用だな。



天への思いが垣間見えて、説教の一つでもくれてやろうと意気込んだ慶斗が深く息をついた。



「いくら甘いモノ好きでも、彼氏が他の女から貰ったモノを喜んで受け取る彼女が居るワケないだろっ」



こんな当たり前も通用しない男に親友も呆れてしまうばかり。


更には、



「彼女じゃねぇし」



ここまで来ても頑として認めようとしないこの有り様だ。



煮え切らない態度にいい加減に見て見ぬふりをしている方も頭に来る。


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