暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】


俺が一人で混乱している中、ソファーに座る陛下は口を緩ませ楽しそうに前に座るお妃様に声をかけた。

「この者がそなたの会いたがっていた者だ」

「………」

アニ姉にそっくりなお妃様は俺を見てかなり驚いている……というか固まっている。

「………酷いです。陛下はいつから知っていたのですか!?」

口を開いたと思ったら顔をむすっとさせ、何やら…怒っている。

対する陛下は先ほどから楽しそうで、

「本当はもう少し焦らしても良かったのだが、儀式の時が初対面だとさすがに不味いと思って今にしたのだ。予想通りの反応だな」

「このような形でなく前もって私に教えて下されば、もう少し心の準備とやらが出来ていましたのに……こんな形で…」

お妃様は困った表情で俺を見る。

先ほどから話が良く分かんねーけど、一体何の話だ?

「グラント」

「……っ!は、はい!!」

セレファーナでなくグラントと名前で呼ばれた事に驚きつつも、俺は座る陛下を見つめると、

「そなたはまだ分からないのか?」

「……えっと、一体何の事で………」

「姉弟揃って鈍いのだな。グラントは既に名乗った。次は妃が挨拶しなさい」

「は……はい」

お妃様はソファーから立ち上がると俺の前までやってきた。

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