たとえ、この恋が罪だとしても。



「…お兄ちゃんが好きだって…」

零れ落ちる涙を腕で拭きながら言った。

「…言ったのか?」

山崎先生は驚いた顔で、そう聞き返してきた。

声に出さず、コクンと頷いた。

「そうか…」


そう言うと、山崎先生は複雑そうな表情になった。

その表情の変化に少しショックを受けるが、これが世間の人の反応。

兄妹の恋の話を聞いて、いい気分はしないだろう。


「で、兄ちゃんは?今どこにいるんだ?」

「…いない」

「は?」

「いなくなっちゃった。もう、兄としても男としても側に居られないからって」

そう言うと、あの日のことを思い出してまた涙が出た。


お兄ちゃんは今どこにいるの?
何をしているの?
何を考えているの?



私は、毎日お兄ちゃんのことばかり考えているよ。












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