黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
「危ない!」
私は思わず、右手の平をその光球に向けた。
その行為は無意識に光球を受け止めようとしたのか、それともレオパードを守ろうとしたのか、自分でも分からない。
だけれども……その瞬間に私の右手の甲には白い痣が浮かび上がり、青白く光った。
そして……
『ドゴォォーン!』
自分の意志とは無関係に、私の手の平は巨大な青い光球を放ったのだ。
(うそ……)
自分でも信じられなかった。
だけれども、レオパードやナエイハの放つ光球……
それと同等、いや、それの数十倍の大きさかと思われるようなものを私の右手は放った……!
次の瞬間!
『ドガァアァー!』
二つの光球が衝突する激しい轟音とともに豪風が発生して、それは渦を巻いた。
「くそっ、小癪な……!」
ナエイハはまたしても瞬間移動でその衝撃を躱した。
だがしかし、竜巻にも似た豪風は地上のウルフの兵士達を飲み込んでゆく……。
「ギャアァア!」
その場には、ウルフの兵士達の悲鳴が響き渡った。
「そんな、まさか……」
全くの予想外……未だに何が起こったか状況を把握できていない私を見て、ナエイハは歯軋りをした。
「おのれ、白豹のプリンセス。まさか、あれほどの破壊力を持つシャイン・ボールを放つとは……。黒豹プリンスの前にまずはお前を始末しないといけないな」
ナエイハはその手に黄色い光球……シャイン・ボールを煌々と光らせた。
そして彼の目は、まるで噛み付こうとするかのように鋭く私を睨む。
ウルフ随一の名兵である俺がお前なぞに負けない……ナエイハのそんな自信が、鋭利な刃物のように私の心に突き刺さる。
(怖い……)
私の体は小刻みに、ガクガクと震えた。
それは、目の前のこの敵への恐怖……いや。
他ならぬ私自身の中に潜む、『何者か』への……?
その時だった。
「ナエイハ! お前の相手は、私だ!」
その声の方……見るとレオパードが赤いシャイン・ボールをその右手に光らせていたのだ。
レオパードを狙っていた兵士達は、一部が竜巻に飲み込まれるとその恐怖からか、散り散りに逃げ去っていたようだった。
「この……」
不意をつかれたナエイハが瞬間移動の行動を起こそうとした瞬間。
『ダァァーン!』
レオパードの赤いシャイン・ボールはナエイハの乗っていた馬を捉えた。
「このっ……」
ナエイハは即座に馬を乗り捨てたが……その場から瞬間移動ができないようだった。
どうやら、瞬間移動は馬に何らかの操作とエネルギーを働かせることで発足するようだ。
それでも諦めぬナエイハは、右手の黄色いシャイン・ボールをレオパードに向ける……!
「危ない!」
その言葉が私の口から出るか出ないかの間のことだった。
無意識にナエイハに向けた私の右手から、途轍もなく大きな青いシャイン・ボールが飛び出した。
不意に放たれた巨大な青い光球は、黄色い光球とともに、反応の遅れたナエイハを飲み込んで。
辺りの地面もろとも、木っ端微塵に吹き飛ばした。
(何で、どうして?)
私には何が起こったのか分からなかった。
だけれども……私の中で鼓動が激しく鳴り、それは私自身にしきりに訴えかけた。
(私が……ナエイハを殺した)
それをこの目で確認した瞬間……
私の全身は青い光を発し始めた。
「嫌だ……」
私は抗おうとする……だけれども、私の中の『そいつ』は、私自身を突き破ろうとした。
私は思わず、右手の平をその光球に向けた。
その行為は無意識に光球を受け止めようとしたのか、それともレオパードを守ろうとしたのか、自分でも分からない。
だけれども……その瞬間に私の右手の甲には白い痣が浮かび上がり、青白く光った。
そして……
『ドゴォォーン!』
自分の意志とは無関係に、私の手の平は巨大な青い光球を放ったのだ。
(うそ……)
自分でも信じられなかった。
だけれども、レオパードやナエイハの放つ光球……
それと同等、いや、それの数十倍の大きさかと思われるようなものを私の右手は放った……!
次の瞬間!
『ドガァアァー!』
二つの光球が衝突する激しい轟音とともに豪風が発生して、それは渦を巻いた。
「くそっ、小癪な……!」
ナエイハはまたしても瞬間移動でその衝撃を躱した。
だがしかし、竜巻にも似た豪風は地上のウルフの兵士達を飲み込んでゆく……。
「ギャアァア!」
その場には、ウルフの兵士達の悲鳴が響き渡った。
「そんな、まさか……」
全くの予想外……未だに何が起こったか状況を把握できていない私を見て、ナエイハは歯軋りをした。
「おのれ、白豹のプリンセス。まさか、あれほどの破壊力を持つシャイン・ボールを放つとは……。黒豹プリンスの前にまずはお前を始末しないといけないな」
ナエイハはその手に黄色い光球……シャイン・ボールを煌々と光らせた。
そして彼の目は、まるで噛み付こうとするかのように鋭く私を睨む。
ウルフ随一の名兵である俺がお前なぞに負けない……ナエイハのそんな自信が、鋭利な刃物のように私の心に突き刺さる。
(怖い……)
私の体は小刻みに、ガクガクと震えた。
それは、目の前のこの敵への恐怖……いや。
他ならぬ私自身の中に潜む、『何者か』への……?
その時だった。
「ナエイハ! お前の相手は、私だ!」
その声の方……見るとレオパードが赤いシャイン・ボールをその右手に光らせていたのだ。
レオパードを狙っていた兵士達は、一部が竜巻に飲み込まれるとその恐怖からか、散り散りに逃げ去っていたようだった。
「この……」
不意をつかれたナエイハが瞬間移動の行動を起こそうとした瞬間。
『ダァァーン!』
レオパードの赤いシャイン・ボールはナエイハの乗っていた馬を捉えた。
「このっ……」
ナエイハは即座に馬を乗り捨てたが……その場から瞬間移動ができないようだった。
どうやら、瞬間移動は馬に何らかの操作とエネルギーを働かせることで発足するようだ。
それでも諦めぬナエイハは、右手の黄色いシャイン・ボールをレオパードに向ける……!
「危ない!」
その言葉が私の口から出るか出ないかの間のことだった。
無意識にナエイハに向けた私の右手から、途轍もなく大きな青いシャイン・ボールが飛び出した。
不意に放たれた巨大な青い光球は、黄色い光球とともに、反応の遅れたナエイハを飲み込んで。
辺りの地面もろとも、木っ端微塵に吹き飛ばした。
(何で、どうして?)
私には何が起こったのか分からなかった。
だけれども……私の中で鼓動が激しく鳴り、それは私自身にしきりに訴えかけた。
(私が……ナエイハを殺した)
それをこの目で確認した瞬間……
私の全身は青い光を発し始めた。
「嫌だ……」
私は抗おうとする……だけれども、私の中の『そいつ』は、私自身を突き破ろうとした。