黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
私の言葉に、プリンスとメイドは顔を見合わせた。


「やはり……」

「はい。プリンセス様は恐らく、異世界に生身で渡られて……その時に生じる甚大なエネルギーによって、転生してしまわれたものと思います」

「そうか……」


プリンスはがっくりと肩を落とした。


「いや、待って。転生って明らかにおかしい……」


そこまで言って、私が起き上がろうとした時だった。


「キャッ……」


慌てて即座に前を隠した。

起き上がろうとして気がついたのだが、私は素っ裸……何も着ていなかったのだ。

そんな私を見て、プリンスは悲しげな顔をフッと緩めた。


「オルビ。うららプリンセスに、お召し物を。それと、着替え終わられたら、すぐにダイニングへ通しなさい」

「かしこまりました、レオパード様」


オルビという名前らしいメイドに命令した彼は、部屋を出ようとした。




「ちょっと、待って。あなたは……」


私は慌てて彼を呼び止めた。

すると、先程とは打って変わった、クールで凛とした眼差しが私に向けられた。


「私はレオパード。この黒豹の国……パンターのプリンスです。あなた……うららプリンセスは私のことも、この国のこともお忘れのようですが、必ず、思い出させてみせます」
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