黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
決して忘れられないトラウマ……

幼い頃、一生消えない傷をつけられた。

その傷は歳を重ねるごとに私を蝕んで。

心の奥の奥を冷たくしていった。

だから、自分を好きと言ってくれる人をはねつけて、いつも一人で。

そして……自分をさらに傷つけることで、大切な人を守ろうとした。

大切な人を救うため、心の奥の奥の傷をさらにえぐって、自分を傷めつけて……

それは、とってもつらくて苦しくて。

死んでしまったら、きっと楽になれる。

(だから……)


私の目には、歪な笑みを浮かべながら剣を持つ、かつての友人の姿が映った。


(……私、もう、死んでもいいんだ)


私は静かに目を瞑った。
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