黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
しかし……


「うらら! うらら!」


……声が聞こえる。

とっても優しくて、温かくて……懐かしい声。

傷だらけで冷たくかたくなってしまった私の心を温めて……柔らかくしてくれる、そんな声。


「うらら! ダメだ、死ぬな!」


その声は私の心の奥の奥……一番柔らかい部分を包み込んで、消えなかった傷をどんどん癒していってくれる。


あぁ、温かい、心地よい……

これが、私の愛する人の声。

そう……また、会えた。

私の愛するレオパード……


(だから……)


私はキッと目を開いた。


(私は……愛する人のためにも。愛する人のもとへ、絶対に生きて戻らないといけないんだ!)


そんな想いが胸に溢れ込んだ途端……

私のネックレスにつけた青い宝玉からは、溢れ出んほどのエネルギーが脈々と私の中に流入して。

私の全身からは、凄まじいほどの青い光……自らの目をもくらますほどの光が放たれて。


「ぎゃっ……」


奈美はその光に耐えきれずに目を瞑った。


その瞬間!


『ドゴーン!』


凄まじい衝撃音……
それと共に奈美の背後から放たれた青い光球が、彼女の背を直撃した。

その光球の放たれた先を見遣ると……


「た、健……」


そう。

健と瓜二つの彼が、両手を重ねて奈美の背後に向けていたのだった。
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