黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
何が起こったか、分からなかった。

凄まじい爆音が私のすぐ側で響いて、レオパードが両手の平を向ける先では全てのものが吹き飛んで。


だけれども……私の側には気を失った奈美がいる。

サーバルも……ジョンもエマも、無事にいる。

そして、レオパードも。

私のすぐ側で……生きている。


そのことに安堵を感じるとともに、その場の時間が止まったかに思えた。




「終わった……」


止まった時間を遮ったのは、レオパードの呟いた一言だった。

その一言が、硬直した状態から私を現実に引き戻した。


「勝った……の? 私達……」


私の言葉にレオパードはゆっくりと振り向いて……静かに頷いてくれた。

だけれども、勝ったなんていう実感は全く湧かなくて。

残ったのはただ、大切な者を失わなかったという安堵……それだけで。


私の視界はみるみる滲んで、熱いものが込み上げて、吹き出した。


そんな私をレオパードはギュッと強く抱きしめて……


「うらら……勝ったよ。もう……傷つくことも、傷つけられることもないんだ」


その言葉とともに、そっと私に口づけをしてくれて。

体中を流れる安堵とともに温かな体温を感じて……私はゆっくりと目を閉じて、彼と舌を絡ませた。
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