黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
「ガッ……」


奈美は背後から当てられたシャインボールの衝撃で、ガクンと膝を折って倒れ込んだ。


「奈美!」


私は、思わず彼女の元へ駆け寄った。

両手で肩を持って揺さぶるけれど、彼女は目を瞑りぐったりとして……

だがしかし、ゆっくりと息をしていた。


「生き……ている」


私は全身の力が一気に抜けた。


「良かった……」


奈美がいくら凶悪な顔を見せたとしても、やっぱり友達だから……

生きていてくれて、私は心から安心した。


「うらら、大丈夫?」


私の前には心配そうに眉を寄せた健……いや、サーバルがいて。

私の瞳には、熱いものが込み上げてきて。

彼の元へ駆けて、抱きしめたい……

私が立ち上がった、その時だった。



私の右目の端に、大きな黄色い光球が映った。


「この……!」

「えっ?」


それは、見たこともないほどに凶々しい光の球。

目を血走らせたコヨテの右手の平で、まるで脈打つように大きさを増した。



(ダメだ……!)


私は瞬時に悟った。


(避けきれない……)


自分を飲み込もうとするその黄色い光のあまりの眩しさに、思わず目を瞑った。

その時だった。


「うらら!」


あの声……ずっと聞き慣れた、愛しい人の声が聞こえたかと思うと私は突き飛ばされて。


『ズダァアーン!』


レオパードの放つ赤い光球とコヨテの放つ黄色い光球……二つの凄まじいエネルギーの衝突する音が間近で聞こえた。
< 153 / 167 >

この作品をシェア

pagetop