黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
その時……彼、レオパードは両腕でギュッと私を抱き締めた。


(えっ……?)


驚く私を抱き締める彼の体から伝わってくる温もりはとても心地良くて……

彼に抱き締められるなんて初めてのはずなのに、どういうわけか私の胸に懐かしさがこみ上げて、私の瞳には熱いものが湧き上がってきた。


仕事で男に抱かれるなんて、しょっ中だったのに……知らない男の肌と触れ合い、もっと過激なことも何度もしていたのに。

彼に抱き締められるだけで、私の胸はドクドクと鳴り、体温が上がって……私は金縛りにあったように動けなくなった。


「うらら……」

「んっ……」


彼の唇が私の唇に重なった。

それはとても甘くて愛おしくて。

仕事として機械的にやっていたものとは全く違うもので……

まるで私の体には体温が戻ったかのような……やっと、本当の自分が体に戻ったかのような不思議な感覚になった。


「レオパード……」


私はその男を知らないはずだった。

デリヘルの客として現れ、私を見知らぬ世界に連れて来た、不思議な男……

だけれども、私の中の『本当の私』はただひたすらに彼を求めて。

彼の腕の中で、初めて流したかとも思えるほどに温かい涙を流したのだった。
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