強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
いいなぁー…幸せそう。
直感的にそう感じた。
頭の中を占領するアノ人ともあんな風に一緒に隣を歩けたらどんなに幸せなことなんだろう。
「…キ」
「……」
「マキ!」
「え?あ、うん」
横からポンポンと肩を叩かれて我に返った。
危ない…また自分の世界に入ってしまうところだった。
「ここから砂浜に降りられるみたい。行ってみようか?」
「うん!」
よし、と微笑んで私の手を取る凪君。
え?と顔を上げると危ないから…と至って普通に返される。
ありがとう、と私は一言返して、手を取られたままゆっくりと砂浜を進んで波が押し寄せる手前まで来た。
私はその場にしゃがんで海を眺めた。
潮風が鼻を掠めて、すうっと肌を撫でる。
「綺麗だねぇー……」
「夜もいいもんだな」
ほぅっ…とうっとりして眺めている私の隣に凪君もしゃがみこむ。
膝に頬杖を付きながら両手で頬を覆う。
この景色、准一さんにも見せてあげたいなぁ~…
そう思って自然と頬が緩んだ。