強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
え?と凪君を見上げるといいから、と私を強引に立たせた。
「康史、俺とマキちょっと熱冷ましに外散歩してくる」
「了解。ゆきのがこんな状態だから俺どうにかしとくわ」
「え?え?」
私一人が今の状況についていけなく、腕を引かれるがまま、廊下に出たのだった。
「やっぱ酒飲むと熱いなぁー…」
「うん、一口だけだったのに。けっこう熱いかも」
夏の夜風は湯冷めしない程度の涼しいものだった。
外に連れてきてくれた凪君にちょっと感謝した。
「少し歩こうか?」
「うん」
ホテルから砂浜へと続く散歩コースを指差す凪君に私は頷く。
月に照らされた海は神秘的な雰囲気を漂わせている。
波の音がとても心地よい。
「いいところだね」
「うん、見つけてくれた康史には感謝しなきゃだな」
そう言って笑う凪君はとても楽しそうだ。
私もつられて笑ってみせた。
夜風に当たりながら二人並んで歩く。
何組かのカップルらしき二人組とすれ違った。