強引な彼の甘い溺愛に囚われて!

バチバチの限定お付き合い



それが起こったのは放課後のことだった。


鐘の鳴る音と共にバタバタと教科書を畳む生徒達。

授業をしていた教師の声すらその騒音でかき消される。

ドアの開く音、話し声、机や椅子が床に擦れる音。

何も変わらないいつもと同じ日常の光景。

帰りのHRもすぐ終わり、教室を出て行くクラスメート達。


「じゃぁ楽しんで…!」

「うん、感想は夜ラインするから」


西野君の腕に絡みつき、私にバイバイと手を振るゆきの。

私は2人を見送ってから教科書を鞄に詰め出した。

作業をしていると、コンコンと机が叩かれる。

見上げると凪君が私の前に立っていた。


「マキ、一緒に帰らない?」

「いいよ、凪君今日バイトないんだ?」


基本凪君に一緒に帰ろうと誘われるのは決まってバイトのない日。

扉の向こうから女子生徒数名がこちらを伺っているのはきっと凪君に興味があるからだと思う。
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