強引な彼の甘い溺愛に囚われて!

あんな風に覗くぐらいならこっちに来て言いたいことを言えばいいのに、と思うけど結局は私も声を掛けないし、凪君も声を掛けない。

だが今日だけは何かが違うようだった。


「あ、あの!霧島君!」

「ん?」


振り向いた凪君につられて私も後ろを振り返る。

霧島君と言われて私は一瞬誰だかわからなかったが、凪君の名字だったと思い出す。


「いきなり呼び止めて…ごめんね。そのー…隣にいる子って」

「マキのこと?」


ちらり、と女の子が私に視線を向け、凪君も私を見る。

え、私に用事?


「真田さんって霧島君の彼女なの…?」


……彼女。

最初は何の話をされてるのか状況が掴めなかったが、女の子が頬を赤らめながら聞いてくるものだからすぐに理解した。

女の子の後ろにいた子たちも不安気にこちらを見て、時々私と目が合うと睨んでくる。


「彼女ねぇ…だったらいいのにね?」


おちゃらけながら大袈裟に溜め息をついてみせる凪君。

いやいや、そんなことわざわざ言わなくたって…
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