独占したい、甘々に。【完】
悠乃は小さくそう呟くと、私の顔を見ることなく立ち去った。





私はその後ろ姿に声をかけることも、追いかけることも出来なかった。





ただ胸の痛みを感じながら見つめることしか出来なかった。





あんなに悲しそうな悠乃の顔、初めてみた…





どうして悠乃が謝るの…?


どうして悠乃が、あんな顔をするの…?





「ごめん俺、邪魔だったよね」


「ううん!そんなことないよ。それより私に話って?」





すると那津くんは額を掻きながら、気まずそうに視線を少し逸らせた。





「その、話っていうか…ただ紗雪ちゃんと話したいなーって思って」





そういう那津くんの顔は、ほんのり赤く染まっているように見えた。





「…ふふっなにそれ」





つい小さく笑いが込み上げてしまっていた。





…さっきまであんなに辛かったのに。


那津くんといると、つい笑っちゃうな。
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