独占したい、甘々に。【完】
「そんなこと言われても…欲しかったもん…」


「…ま、紗雪に怪我なくてよかった」





悠乃は素っ気なくそう言ったが、優しく笑っていたのが横顔から伺えた。





「ほんとにありがとっ!あのまま転んでたら大変なことになってたね…」


「俺に感謝するんだな」





荷物を袋に詰め終えると、私たちは立ち上がった。





「そういえば、悠乃はどうしてここに?」





「あー…」





そう言うと悠乃は何か気まずそうな表情を浮かべた。





どうしたんだろう?


なんか視線も泳いでるし、なんとなく顔もちょっと赤い気がする。





そんな悠乃の様子に疑問の眼差しを向ける。





「悠乃?」





再び声をかけると、悠乃は聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で呟いた。
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