クールな御曹司の甘すぎる独占愛

あとで傷つくのが奈々は怖かった。最後の恋愛は、もう五年も前。どう恋したらいいのかもわからない。それなのに心はこんなにも揺れている。


《そう思ってる時点ですでに好きってことだよ》
「えっ?」
《好きなんだね、奈々》


真弓が優しい声色で断言する。諭されるように言われて、奈々はドキッとした。


《好きにならないように抑えるのは、気持ちが溢れちゃうからでしょ?》


まさにそうだった。奈々は、油断すると水瀬のことばかり考えている。和菓子作りに没頭しているときでも、頭の片隅には水瀬がいる。眠りにつく前に考えているのも水瀬のこと。


「だけど、これ以上好きになったら、きっと後悔する」
《どうして?》
「水瀬さんの気持ちがずっと私に向いているとは思えないの」


あんなに素敵な人なのだ。いつまでも好きでいてもらえるとはどうしても思えない。もしかしたら、いっときの気の迷いの可能性だってなきにしもあらず。

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