クールな御曹司の甘すぎる独占愛

つくづく失礼な人だと、奈々は辟易した。
そんな宮内に借りは作りたくない。奈々はレジから出したお釣りをきっちりと宮内に手渡した。


「いらないって言ってるのに。本当にいいの?」
「結構です」


奈々にしては珍しくきつい口調になった。


「奈々さん、奈々さん」


不意に明美が奈々を呼ぶ。そちらを見てみれば、晶が店に入ってきたところだった。今日は土曜日だが、いつもと同じくスーツを着ているのを見ると、急な仕事でも入ったか。

奈々に向かって軽く手をあげて微笑んだ晶は、すぐそばにいる宮内に気づき、その顔から笑顔を消した。


「水瀬、久しぶりじゃないか」


晶に気づいた宮内も、ふと真顔になる。


「……だな」
「有能なコンサルタントらしいじゃないか。さすが水瀬だな」


宮内が本当に“さすが”と思っているかは怪しい。その目はどこか挑発的だった。

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