クールな御曹司の甘すぎる独占愛

「奈々!」


すぐに晶が追おうとしたようだが、その直後にミヤビの「晶、待ってよ!」という声が彼を引き留める。後ろを振り返る勇気もないまま奈々は走り、大通りで止めたタクシーに乗り込んだ。

やっぱり晶さんはミヤビさんと……。

そう思わざるを得ない状況だった。
そのうえ、自分と宮内のことまで誤解され、奈々はどうしたらいいのかわからなくなる。

晶と親密な女性の登場で奈々の心が乱されるのは、ふたりがあまりにも浅い付き合いだから。ミヤビは自分よりもっと晶を知っている。宮内と話して大学時代の晶を知ったと思った自分が恥ずかしい。勘違いも甚だしい。

だが、どう考えても自分が隣にいるよりミヤビは晶にお似合い。どうしようもない寂しさに包まれ、奈々はタクシーの中で自分の肩を抱きしめた。

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