クールな御曹司の甘すぎる独占愛

宮内の話は、ミヤビが自身の影響力を使い光風堂の名を汚す、あまりにもひどい内容だった。そのうえエージェンシーまで使い、晶を解雇に追い込もうと画策するとは。

奈々はそれを止めようと別れを選んだのだ。
奈々がそんなことになっていると気づかず、なにをやっていたんだと、晶は自分の膝を拳で強く殴った。

奈々は電話で話したときの晶のわずかな変化を見逃さなかったのに、自分は奈々の大きく揺れる心をまったく察知できずにいたのが歯がゆい。

それどころか、奈々と離れることを躊躇するばかりに、上層部からの打診を保留にしている。彼女の気持ちを踏みにじるも同然の行為だ。


「彼女なら、晶の背中を押すんじゃないか? 晶のピンチを知って、自ら身を引くくらいなんだ」


宮内の言葉が妙に晶の胸に突き刺さった。
奈々を今すぐこの腕に抱きしめたい。なにも不安に考える必要はないと。


「その前に、水瀬にはやるべきことがあるだろ?」


宮内がなにを言いたいのか、晶はすぐにわかった。

< 260 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop