クールな御曹司の甘すぎる独占愛
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ミヤビのSNSの影響は、一週間が経ってもなお光風堂から客足を遠ざけていた。
晶のコンサルのおかげでじわりじわりと上がった和菓子の売上は、再び伸びが止まった状態。和菓子にお客の目が向く以前は軽食の売上がそれなりにあったが、和菓子の味を否定されたせいでサンドの味も落ちているのでは?ととられているようだ。昼時に軽食を求めるお客も減っている。
晶と別れてしばらくふさぎ気味だった奈々だが、光風堂をこのままにはしておけない。なんとか起死回生をと、再び奮起し始めた。
懐中おしるこ。
それはあんを最中の皮で包み、お湯をかけて食べる、いわゆるインスタントおしるこだが、光風堂の商品の中でも特に売れ行きが悪い商品のひとつにあげられる。
本来なら製造をやめて別の商品にすべきかもしれないが、奈々は父が商品化した中でもお気に入りの一品。お湯をかけて溶けだしたときのあんと皮はたまらなく香ばしいし、優しい甘さがホッとする。とてもインスタントのおしることは思えない。
なんとかしてもっと目立つ商品にできないかと、奈々は昨日から頭を悩ませていた。それはあの焼きアイスクリームを食べたせいでもある。あのとき感じた弾む気持ちを、この懐中おしるこで表現できないか。そう考えては、トレーに置いた懐中おしるこを眺めた。