クールな御曹司の甘すぎる独占愛

占いしるこの売上に引き上げられるようにほかの和菓子も売上がぐんぐん伸び、閉店まで商品が並ばないことも多い。数を増やしても増やしても追いつかない、嬉しい誤算続き。

また奈々は、『ABP~All Business Person』という経済界の著名人が軒並み顔を連ねる経済紙にインタビュー記事が掲載され、このところは有名人の仲間入りまでしている。

離れ離れになった晶とは毎日メールを欠かさず、三日に一度の割合で電話でも話している。
晶の仕事も順調らしく、奈々同様に毎日忙しくしているそうだ。前回会ったのは正月に晶が一時帰国したとき。それから半年以上が過ぎ、この頃の奈々は晶の温もりが恋しくてたまらない。電話やメールでもこれ以上ないほどの愛の言葉はかけてもらっているが、実物の晶にはやはり敵わないから。

昨日の電話で、晶はスイスでの仕事が長引きそうだと言っていた。短くて二年と言っていたが、新会社ともなれば軌道に乗るためにはもう少しかかって当然だろう。

あと半年なのか。それとも一年。いや、もしかしたら永遠に帰ってこられないかもしれない。二年が過ぎたあたりから奈々はそんなことをふと考えるようになり、不安を覚えることもあった。


「会いたいな……」


口から漏らし、明美に「水瀬さんにですか?」と心配顔をさせてしまった。

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