クールな御曹司の甘すぎる独占愛

「光風堂の和菓子の売上がここ数ヶ月伸び悩んでいるのは、もしかしたら清人さんもご存知かもしれないのですが」


ここまできたら売上の低迷は、隠しておくよりも知っておいてもらったほうがいいだろう。協力を要請するには、理由が必要だ。


「私の力不足です。申し訳ありません」
「いえっ、そうじゃないんです」


直角に腰を折り曲げた清人を奈々が慌てて制すると、彼はゆっくりと顔を上げ「……はい?」と訝しげな表情を浮かべた。
もしかしたら清人は、自分の力量不足を咎められ、退職を促されるのではと思ったのかもしれない。


「清人さんの作る和菓子にはなんの問題もありません。私のプレゼンテーション力の問題なんです」
「奈々さんの、プレゼンテーション力?」


まばたきを激しくさせる清人に、奈々は軽食やコーヒーを注文したお客に和菓子をサービスで付けてはどうかと話した。

最初こそ驚いていた清人だったが、一度食べてもらわないことには、光風堂の味をわかってもらえないからと強く言う奈々に、ついには清人も首を縦に振った。

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