子爵は新妻を独り占めしたい
(お礼を言えただけでもよしとするか…)

紗綾は心の中で呟くと、自分の部屋に戻った。

先ほどエミリーからもらった服をたたむと、それをクローゼットに片づけた。

ソファーのうえに腰を下ろすと、紗綾は息を吐いた。

「私、本当にどうなっちゃうんだろう…?」

海に向かって身を投げて死んだはずなのに、どう言う訳なのか自分は見知らぬ世界に飛ばされていた。

自分を助けてくれたうえにお世話になることになったのだが、いつまでもこの家にいると言う訳にはいかない。

「この世界にバイトなんてあるのかな?

せめて、働くところが見つかったらいいんだけどなあ…」

紗綾は呟くと、ソファーから腰をあげた。

「明日エミリーさんかエリックさんにお願いして、どこか働くところを見つけなきゃ」

自分に言い聞かせるようにそう言うと、紗綾はシャワールームへと足を向かわせた。
< 45 / 103 >

この作品をシェア

pagetop