国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
ラタニア王国には守備、警備を中心に巨大な兵団を持つ。セルゲイは四十半ばという年ではあるが、前国王時代からラタニアに仕えてきた経験と知識でこの国の全兵士を束ねる騎士団長を務めていた。幼少の頃からレイを知るセルゲイは、国王といえども慎むことなく時に口うるさいこともあるが、レイにとって腹心の部下だった。
レイは国王に即位するまで、今のセルゲイの騎士団長の位に就いていたが国王になってからも、ラタニアの治安を乱す者を自ら取り締まるべく悪漢を追っている。そして昨夜、国中あちらこちらに散っている諜報員によって、レイはピレネ食堂で麻薬の取引きが密かに行われるという情報を掴んだ。
しらみつぶしにしても、氷山の一角だということはわかっていたがそれでも見過ごすよりは行動に出るべきだと、セルゲイとともに王都へ向かった。しかし、国王が素顔で王都に出回るということは、危険な行為だった。王都は光と闇が交錯する街、国王だと知って謀る輩もいないとも限らない。国王が殺されては、この国はあってないようなものになってしまう。
そんな理由でレイはフードで顔を隠し、毎夜王都を駆け巡っていた。
「公務執行妨害、及びこの私に剣を向けた大罪を犯した女……セルゲイ、調べあげて捕えろ」
「御意!」
恭しく一礼をすると、セルゲイはすぐさまその場を後にした。
「ふ……面白い女を見つけたな」
レイはひとりごちると、堪えきれない忍び笑いを口元に浮かべた。
レイは国王に即位するまで、今のセルゲイの騎士団長の位に就いていたが国王になってからも、ラタニアの治安を乱す者を自ら取り締まるべく悪漢を追っている。そして昨夜、国中あちらこちらに散っている諜報員によって、レイはピレネ食堂で麻薬の取引きが密かに行われるという情報を掴んだ。
しらみつぶしにしても、氷山の一角だということはわかっていたがそれでも見過ごすよりは行動に出るべきだと、セルゲイとともに王都へ向かった。しかし、国王が素顔で王都に出回るということは、危険な行為だった。王都は光と闇が交錯する街、国王だと知って謀る輩もいないとも限らない。国王が殺されては、この国はあってないようなものになってしまう。
そんな理由でレイはフードで顔を隠し、毎夜王都を駆け巡っていた。
「公務執行妨害、及びこの私に剣を向けた大罪を犯した女……セルゲイ、調べあげて捕えろ」
「御意!」
恭しく一礼をすると、セルゲイはすぐさまその場を後にした。
「ふ……面白い女を見つけたな」
レイはひとりごちると、堪えきれない忍び笑いを口元に浮かべた。