国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
悠然と腰掛けている男に確かに見覚えがあった。ミリアンはあまりの驚きで頭を垂れることも忘れ、目を見開いてその場に立ち尽くした。

長い脚に長い黒革のブーツを履いた足を組み、黒曜石の玉座に肩肘をついてミリアンをじっと見つめる男、胸には金光りしたいくつもの勲章が並び、軍人の装いをしていた。国の象徴であり、この国の軍を率いて守るという独特の生気と迫力が伝わってくる。

「ふ……また会ったな。いつまでそんな間抜け面をしている。私はレイ・ヴァリエ・リシャール。この国の統率者だ」

また会ったな。と言われ思わず固まる。あの夜、自分が剣を向けてしまった相手はあろうことかラタニア国王だったのだ。その行為が、反逆者だと思われてしまった。ミリアンはじわじわと迫り来る確信とともに絶望の淵に立たされた。

黒髪が陽の光によって艶めいて、自分を見据える双眸は鷹のように鋭い。
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