国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
大層で一際大きく、なにかの模様が掘られた扉の左右に控えていた兵士に、セルゲイが目配せするとドォンと低い音を響かせて扉が開いた。広間状の空間が目の前に広がると、呆気にとられる間もなくセルゲイに背中を押されて、ミリアンはそのまま前に進んだ。

足元には羊毛素材の真紅の絨毯、所々に金の刺繍が細かく施されている。赤は高貴で邪悪なものを避け、「陽」の気が満ちると言われている。一歩一歩足を踏み出すたびに心臓の音が大きくなるのがわかった。絨毯に導かれるように、伸びたその先にある玉座に視線を向けると、ミリアンは思わず立ち止まり小さく「あ……」と声を漏らした。

「止まるな、さっさと歩け」

再びセルゲイに背中を押される。我に返って歩くと、そんな姿を見て国王がニヤリと笑っているのがわかるくらいのところまで来て足を止めた。

「謁見を賜ります。お連れいたしました、レイ国王陛下」

セルゲイはそう言うと、恭しく頭を垂れて片膝を付く。

(この人! まさか、あの夜の……? 嘘、国王陛下って――)
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