国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
ミリアンが五歳の時にこのローデン教会に来た時から世話になっているロパは、毎年、彼女の誕生日を祝うためにプレゼントを用意してくれるというが彼女はその分、教会に二十人ほど住む下は三歳、上は十歳の孤児たちに、ミリアンの誕生日だということは伏せて年に一回訪れるパーティの日とし、豪勢な食事を振舞って欲しいと頼んでいた。

「ミリアンも十八か……早いものだ、ここへ来た時は夜な夜な泣いて一番手間が掛かったというのになぁ」

ロパはその当時を懐かしんでほっほっと笑った。

ミリアンは村の人に連れられてこの教会へ来た時は、突然村が炎の海に飲み込まれ、母を失い、傷心の身でいっさい笑うことができなかった。そのおかげで先住の子どもたちからいじめに遭い、幼少の頃は嫌な思い出しかなかった。そんなミリアンにロパはいつも心温かく優しく接してくれていた。

本来、ローデン教会に住む孤児たちは十六になると職を見つけて独立しなければならない。しかし、ミリアンは子どもたちから慕われ、面倒見も良かったため、ここに住みながら子どもたちの世話役を任せられていた。
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