国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
時刻は十六時。冬のこの時期は日が暮れるのも早い。

(やっと終わった。子どもたちもよく食べたわね、派手に食べ散らかして……)

ようやく大広間を片付け終わったミリアンは、ふぅとひと息ついた。

久しぶりに豪勢な食事を食べている時の子どもたちの笑顔を思い出しながら、ミリアンは頬を緩めた。それが自分への最高の誕生日の贈り物だった。

今夜は骨まで凍えそうな寒い夜になるだろう。今にも雪が降ってきそうだ。ふと、ミリアンは窓の外を見て室内まで伝わってきそうな外気にぶるっと、身を震わせた。
村が襲われたあの日もこんな寒い日の夜の出来事で、思い出すたびに美しいその肌に残った首筋の火傷がヒリッと疼く。

ミリアンは自分の誕生日が嫌いだった。もし、誕生日でなく普段と変わらない夜を過ごしていたならば、村がなくならずにすんだのではないか、自分の誕生日のせいで母は死んだのではないかと、一体どこへ向けたらいいのかわからない憎しみが、今でもミリアンの中で行き場を求めて彷徨っている。

母からもらった最後の誕生日プレゼントである小さなロザリオをギュッと握ると、胸元から覗く竜の真紅の瞳がそんなミリアンを励ますかのように静かに光をたたえていた。常に胸元に隠しながら、母からの人に見せてはいけないという言いつけを守り、ロパにすら見せたことがなかった。
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