はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
訂正してやろうと口を開きかけたところで、桐生の担任が口を挟んだ。



「部活に熱心なのはいいことだが、だからといって蒼先生を追いかけ回したら迷惑だろう。」



そう言われた神谷は、渋々立ち去った。



彼の様子に、デジャブを感じた。



さっきの桐生との会話、彼はまるで話を打ち切るかのようだった。



職員室に入り、ドアを閉めてから聞いた。



「もしかして、亡くなったのはお兄さん?」



「鋭いね。」



「桐生が、お兄さんのマフラーを取りに来てたから…。

こんな時に普通、忘れ物したからって学校来ないでしょ?」



僕が自分の席に着くと、彼は僕のすぐそばに近づき、小声で話し始めた。



「これ、某校勤務の同期から聞いたオフレコなんだけど…。

桐生の兄さん、受験失敗したのを苦にして自殺したらしい。」



確か、名門校通ってたんだったな。



他校の生徒とはいえ、同じ高校生を教える者として、悲しい気持ちになった。



ふと、隣の席にいる坂下先生が視界に入った。



まるで何かに耐えるように、唇を噛み締めていた。








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