はつ恋【教師←生徒の恋バナ】

・若菜サイド

離任式で、坂下の名前が呼ばれることはなかった。



残留ってことは、書道部の顧問は続けるんだろう。



2年に上がると、面白くないことばかりが続いた。



深夏をはじめとする特に仲の良いコたちとは別のクラスになるし、担任は1年の時に体育を担当した奴だった。



この担任とは、相性が悪い。



奴は私みたいな勉強だけしかできない生徒が嫌いみたいで、私の絶望的な体育の成績がそれに拍車をかける。



担任のそんな態度は、他のクラスメイトにも伝染していった。



無視するってわけじゃないんだけど、みんなで集まって何かする時に声がかかることはなくなった。



学校にいても楽しくないから行きたくないし、家にいるのはもっと嫌。



「もう、家出て働こうかな…。」



「お前、そこまでしてやりたいことでもあるのか?」



「無いよ。」



「はぁ?何、ワケ分かんないこと言ってるんだよ?

お前みたいな奴、雇うところがあるわけないだろ。」



いつもの喫茶店で、何とか飲めるようになったコーヒーにミルクと砂糖を入れて飲んでいると、夏目に頭を小突かれた。


…だよね。



働き口があるとすれば、『女』であることを売り物にするくらい…。



っつーか、私じゃ価値無いか。








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