はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
「とりあえず、高校はちゃんと出とけ。

出席日数と赤点に気を付ければ、多少ここでサボっても文句言わねぇし。」



赤点って…、その言葉に私は苦笑する。



「漱石、ホントに教師になる気あるの?」



「もちろん…ってか、そのあだ名止めれ。」



「やーだよーだ!」



あっかんべぇ~ってしながら、言った。



「ちょっとマスター、このガキ会う度に態度デカくなってるんだけど?」



夏目が泣きついたものの、マスターは黙ったままパソコンとにらめっこしていた。



「マスター、何してんの?」



その声に、マスターがパソコンから目を離す。



「ここの一角だけ和風にするのに、壁に何か飾ろうと思って…。」



「いつ来ても客がいない喫茶店に、カウンター以外の席なんて要る?」



「若菜ちゃん、キツイなぁ。

コレでも夕方過ぎれば、それなりに客来るんだよ。」



「一応、ライブもやれるし。

誰だっけか…、ヴァイオリンを弾いた奴までいたよ。」



マスターの言葉を引き継ぐように、夏目が続いて言った。



ああ、だからフロアの奥は機材みたいなのが置いてあるんだ…。










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