はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
仏間を出た途端、ヒステリックに言葉をぶつけられた。



「お茶も淹れられないなんて恥ずかしいこと、ペラペラ喋らないで頂戴!

この抹茶だって、どうやったかも怪しいものだわ。」



「翠子さんは、美味しいって言ってくれたもん。」



「馬鹿ねぇ、お世辞に決まってるでしょ?」



母はそう言い放つと、鼻で笑った。



母が準備をしてる間、翠子を茶室に案内するため戻る。



翠子は仏壇に向かい、手を合わせていた。



お兄ちゃんのために祈る翠子に『聖女の乙女』の真髄を見た気がした私は、声がかけられなかった。


翠子が私に気付いて、声をかけるまで…。



茶室に向かうと、待ちくたびれた感を醸し出した母がいた。



「お待たせして、申し訳ありません。」



「あ、良いのよぉー。」



翠子にいい顔する母は、コッソリ私に聞く。



「何、やってたのよ。」



「お兄ちゃんに手を合わせてるのに、邪魔できないでしょ。」



そういう理由じゃ文句も言えないのか、母は口を噤んだ。



何事も形から入るのが好きな母の点前は、堅苦しくて嫌いだ。



作法がきちんとできてる翠子は、楽しんでいるみたいだけど…。



こういうのが苦手な私は、必ずどこかで間違える。



蛇のように睨む母の視線で、お茶を味わうどころじゃない。



あぁ、後で説教タイムだな…。









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