はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
俺の言葉に、いち早く反応したのは坂下だった。



「場所は、どこです!?」



「指導室。」



「多分、中から鍵かけてる。」



へばってはいるが、俺より状況を的確に把握して伝える優はスゴイと思う。



その言葉に、慌てて金庫を開けた教頭が



「マスターキーも持ち去られてる!」



珍しく声を荒げた。



坂下はキャビネを開けると、目的のブツを探し出したのか、それを手にする。



ってか、ハンマー!?



それ、何に使う気だよ?



「教頭先生、窓から侵入します。

宜しいですね?」



ってか坂下の奴、NOを言わせない勢いで詰め寄ってるんだけど…。



「分かった…。

蒼くん、坂下に同行し…って、おい!!」



教頭が、窓に向かって叫ぶ。



無理もない、2階の窓から飛び降りて1階の窓ガラス叩き割ろうとしてるんだし…。



「坂下ーっ!!

誰が窓から飛び降りて良いと言った!?」



「とりあえず、僕は坂下先生を追いかけます。」



蒼が、職員室を飛び出す。



「ああ、窓から入ったら直ぐにドアを開けてくれ。」



蒼に指示を出した教頭は、他の先生にも声をかける。



「3人程、指導室へ向かえ!

蒼くんが鍵を開けたら中に入って、坂下を止めるんだ!!」



教頭、相手を間違えてないか?



止めるのは、桐生ちゃんに暴行する担任だろ?



他の先生たちも同じことを思ったのか、教頭の言葉に呆然としていた。



「とにかく、言う通りに坂下を…。

もう良い、私が行く!!」



しびれを切らしたのか、廊下を走ることをしない教頭が駆けて行った。









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