はつ恋【教師←生徒の恋バナ】

・蒼サイド

僕が、階段を駆け下りてると



ガシャーン!!



ガラスを叩き割る音がした。



坂下先生が中に入ったなら、僕はドアの前で鍵が開くのを待っていた方が良い気もするが…。



長年付き合いのある教頭が言うんだから、考えあってのことだろう。



僕は、窓へ回り込むことにした。



開け放れた窓枠に手をかけると、坂下先生が桐生の担任を殴っているのが見えた。



完膚無きまでに叩きのめすつもりなのか、僕はその様子にゾッとした。



「蒼くん、まだか!?」



ドアの外から、教頭の声がする。



鍵、開けてなかったのかよ…。



僕は教頭の言うとおりにして正解だったと思いながら、中に入った。



「鍵を開けてくれ!

坂下を止めるんだ!!」



ドアの外から聞こえてくる教頭の言葉に、優先順位どっちだよ?って心の中でツッコミながら鍵を開けた。



教頭は入るなり、坂下先生を止めにかかる。



「桐生、大丈夫か?」



声をかけると、カーテンを被ったままの桐生が頷いた。



「止めないで下さい!」



坂下先生は言うが、そうはいかないだろ?



僕と教頭が四苦八苦していると、桐生が立ち上がった。



「桐生、危ないから…。」



だけど桐生は構うことなく、左手を伸ばし…。



坂下先生の袖を掴んだ。



それに気づいたのか、坂下先生は桐生の方を向く。



「桐生さん…。」



坂下先生は、まるで娘を心配する父親の顔をしていた。








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