はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
私はエレベーターを待つのももどかしく、階段を駆け下りる。



坂下って、平気で生徒と関係を持つ奴だったんだ?



もうガッカリ…なんて、通り越してる。



あんなラブシーン見せつけられて、私の心はズタズタもいいところだ。



私が坂下と…なんて、ありえないことは分かってる。



だけど、何でアンジェ先輩なのよ!?



私と1コしか違わないじゃん。



それに、坂下が大事にしてた和歌ちゃんより年下じゃん!



気づいたら、駅の方まで走ってたらしい。



疲れて足を止めると、ピアノを売ってる店の前だった。



ピアノの販売促進のためか、ピアニストの無料ミニコンサートが開かれていた。



「アンコールは、ベートーヴェンのピアノソナタ『悲愴』から、第二楽章。」



私の気持ちに沿ったタイトルに惹かれ、中を窺う。



結構イケメンらしく、女性ばかりが集まっている。



弾き始めた曲は、私が想像していたものとは全然違ってた。



穏やかなカンジの曲で、コレのどこが『悲愴』なの?って思った。



最後まで聴く気になれず、私はその場を後にした。



1年以上前に買った、坂下とお揃いの携帯を取り出す。



あの頃が、1番幸せだったのかも…。



私はアドレスから番号を探し出すと、通話ボタンを押した。



「ミカ、スクープ欲しくない?」









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