だから何ですか?





頬が赤いのが寒さのせいでない事は充分に分かるから、愛おしいと言うように頬に指先這わせ掌で包んだ。



「相も変わらず・・・エロくていい顔する」


「はっ・・はぁ・・殺す気ですか?」


「俺のキスで死んでくれるなら満足だけど?」



フフンと意地悪に笑って頬を擽って、『何をするんだと』非難全開に見上げに来ている双眸を強気に覗き込み返して僅かばかりの優越。


キス一つで『殺す気か』なんてどこまで愛らしい事を言ってくれるのか。


そんな強気な俺の姿にキッと目を細め眉を寄せた亜豆の次なる強がりの威嚇はどんな言葉なのか。


言い負かす自信はいくらでもあると構えて見下ろし対峙すると。



「でも・・・死んでない」


「・・・・はっ?」


「殺されてない」


「・・・亜ず・・___」



意表に対して意表返し。


これまた予想もしていなかった切り返しの言葉に理解は追いつかず、間の抜けた感じに声を漏らしていればいつの間にか挑みかかるような表情は解消されていた彼女の表情。


代わりに・・・酷くもどかし気な表情を一瞬。


後に胸元を掴まれ引き寄せられ、さっき俺が仕掛けたように、・・・いや、それよりは随分拙いものだけども噛みつくように口づけられて貪られる。


意表を突かれすぎてされるがままで、我に返ったのは慣れない口づけに呼吸が追い付かなかったらしい亜豆が唇を離したタイミング。


自分で仕掛けておいて『はぁはぁ、』と息を切らす姿には馬鹿正直に心臓が跳ねあがる。


< 121 / 421 >

この作品をシェア

pagetop