だから何ですか?
あー、確かに激務だな。
さすがにこの仕事後に誘いをかけるのは気が引ける。
自分も仕事がハードだった日はまっすぐに家に帰りたい気持ちが強だし、亜豆に無理につきあってくれとは言いにくい。
それにしても、仕事だから仕方ないにしても今も海音と一緒か。
それには小さく嫉妬を抱き、不満な細目で手帳の写真を見つめながら椅子の背もたれに身を預けていたけれど。
「・・・・木曜はいけそうじゃん」
みっちりと予定が書かれている今週欄の中で唯一予定もなく誘いやすそうな木曜日。
さっそくとばかりにメールを作成し、
【木曜の夜なら食事平気?】
と、送信する。
さて、後は反応待ちか。と、複雑な感覚も否めない感じに苦笑いで携帯を横に置いてパソコンに意識を戻して僅か。
ブブッと震えて受信を告げる携帯には『はやっ』と小さく声が漏れた程。
あ、もしかして速攻で【無理】とかの返信だったらちょっとへこむな。なんて事を思い、その予想もあり得なくないと身構えながらメールを開くと。
「・・・・・・」
ヤバい・・・顔が。
捉えた内容に思わず上がる口の端を手で覆って隠していき、変に込み上げた熱を発散させるようにゆっくり深く息を吐いた。
受信したメールに文字はない。
たった一枚の写真の添付。
さっきと同じように手帳を開いた写真が一枚で、さっきとの変更点は一か所。
木曜日のマスにペン色を変えて記入されたのは、
【伊万里さんとデート♡】
その予定。
そんな些細な事で歓喜してにやける俺もいい歳してどうなんだ?と、自分に呆れるも悪い気はせず。
どこかハイになっている感覚のまま亜豆がくれたチョコを一つ口に運んだタイミング。
こちらからは返信していないのに再び亜豆からのメールを受信して、特別何も考えずに開き今度はまともにメールの文面。
その内容には思わずフッと笑いが零れて頬を掻く。
【あれっ?デートですよね!?】
多分、送信した後に『ちょっと待てよ?』と焦っての再確認なんだろう。
本当、いちいちの反応がどこか初々しくて愛らしい。
その度にこちらも引きずられて恋愛の初心に返るような感覚に陥る。
デートですか?なんて大人の感覚同士ならあまり口に出して確認しなくなっていたな。
言わずとも絶妙な距離や空気を読んで汲んで・・・それが当たり前で大人には必然的な恋愛ってやつだと思ってた。