だから何ですか?
気の毒にもまだまだ【亜豆】という生き物を把握していないのが大きなハンデとなっているし、これからも度々ぶち当たりそうな。
そんな事などまるで分かっちゃいないお嬢さんは隣でひたすらに自分だけは満足一色歓喜一色だしな。
良くも悪くも亜豆に悪意はない。
どこまでも・・・こういう生き物で、愛らしくもあるし憎たらしいと思わざるも得ない場面も多々。
「話さな過ぎじゃない?」
「・・・・何が?」
「和に、俺との関係とか」
「話してるよ?必要な事は全部」
「『必要な事は』・・・ね。必要じゃないと判断された事は話さないの?」
「必要じゃないって思ってるのに話す必要があるの?」
純真無垢な子供の目に悪気はない。
俺の問いかけにキョトンとしながら逆に問いかけ直してくる凛生には苦笑いが先走り、小さな子供をなだめる様にポンポンと頭を撫でてしまった。
「何がどこまで必要か・・・それすらも人それぞれだよ」
「うん?」
「凛生が必要ないと思っている事でも、それを知らないと和は迷子で困る事になるかも。これからつきあって行くなら尚の事」
「・・・伊万里さんが好き。・・・その感情以外に何が必要あるの?」
「・・・愛おしくも憎たらしいね。振り回されて腹が立つのに、無垢な愛情に魅入られて逃げようにも逃げられないんだから」
「よく分かんない」
怪訝な表情で疑問を返す凛生にフッと笑い視線を前に戻す事で会話の終了を示す。
それに逆らわず隣でも凛生が前に向き直ったのを気配で感じた。
俺も和も無意識の罠の虜なんだよ。