だから何ですか?




思わず口を閉ざした間をこいつが見逃してくれる筈もなく、



「成程ねぇ。まったく連絡も逢瀬もなしに安心して悠長に構えてられるのは凛生が好き好き言って惚れ込んでくれてると余裕かましての和くんなのかな?」


「っ・・・お前、本当に良い性格してるな」


「だって、普通の一般的相手ならそんな事思わないだろ?連絡も途絶えて顔すら合わせてもらえなくなれば避けられてるって思うのが一般的だろ?」


「避けられてねぇ。仕方ねぇだろ、今仕事が立て込んでるみてぇだし、俺だって疲れてるとこに『何で連絡してこないんだ』なんてガキみたいな事言う気はねぇよ」


「俺には来てるけどな」


「っ・・・」


「勿論・・・仕事がらみじゃなくプライベートな事で」



それでも、避けられてない?


そんな問いかけに感じる試す様な笑みと惑わす様な紫煙と。


分かってる。


全部全部こいつの悪癖による意地の悪い悪魔の言葉だって。


含みのある言葉で疑心暗鬼抱かせ迷わせる。


そうして惑わす本人には悪びれた感情が微塵もないと分かってるから腹立たしさも倍増。


ただ、本当に面白いだけ。


もしくは、



「お前・・・亜豆の事好きなのか?」



浮上した一つの疑問を音にすれば、珍しく崩れた悪魔の笑み。


言われた響きにキョトンとした感じに見つめ返してきて、それでもそんな表情は1分もしない内に元の笑みに。



< 231 / 421 >

この作品をシェア

pagetop