だから何ですか?
追いかける事も出来たのに、何故かそれもせずに呆けて靴音が聞こえなくなった頃合いに回帰する自我。
一番最初に口から零れたのはもどかしさに満ちた重苦しい溜め息で、それを吐きだし頭を抱えると自分で立つ気力もなくなったとばかりに椅子に座りこんだ。
「・・・・訳分かんね、」
好かれていると気分を上げに来たと思ったら、過剰な接触には下手な言い訳を付けて拒んでくる。
照れ隠し?
でもそんなのは今までの方がよっぽど明確で、羞恥に満ちていても行為そのものを拒むような事はなかったのに。
好きだと言う言葉や態度に疑いは浮上しないのに、それの延長の行動には今までにない俺への拒絶を感じる。
必要最低限の接触は避けたいような。
ああ、ダメだ。
そんな不安をあおるような思考を巡らせてしまえば疑心暗鬼は大きくなって、中止となった今日の事までに疑いをかけてしまう。
でも、
どうしても・・・
なんで・・・俺を拒むんだ?亜豆。
『必要、ありますか?』
「・・・・・必要だよ。『好き』だけじゃ足りねぇ」
そんな俺の感覚が弱いのか。
『好き』だけでどこまでも揺らがずにいられる亜豆が強いのか。
「・・・・仕事しよ」
いくら考えようが現状変わりようのない事態からの現実逃避。
目の前の仕事が気つけ薬の様に、無気力でパソコンを立ち上げると山積みになっていたチョコレートを瓶に詰め込んだ。